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酒池肉林、これもまた人生

鼻の下の長い連中はこういった言った題材を見ると、100人が100人ともクリックする。私も勿論その類であるし、人生一度だけと思わば何事もお高くとまることなく出来るだけ自分に素直でありたい。でもいつもふざけて遊んでいる訳でもなくたまには真面目な話もする。アルコール類はその道を究めるには程遠く、若いうちから飲んで酔っ払うことで満足してきたからこの地酒はどうかとかあのワインはどこ産で何年物が美味いとかの御託は一切無い。

けれども、肉については実際自分で肉牛を飼育しているので、全然知らないと言う訳にはいかない。私はモノグサだし、半ば趣味だから出来るだけ楽の出来る飼育方法を取っている。それは放牧であって読んで字の如く牛を牧場に放つのである。後は交配、分娩、成長全て自然に行われるから大した労力も使わない。しかし牛肉に関しては基本的な知識だけは持ち合わせているつもりである。友達のカウボーイに聞いたり、肉屋のオヤジの受け売りもあるが、お陰でそれらの知識が日常生活の知恵ともなっている。

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肉牛の母親からオスの子供が生まれたらまず殆ど去勢する。何故なら肉が柔らかくなるからである。そして普通は8-12ヶ月で子牛の料理に廻される。メスはそのまま育て、将来 <子牛を産む機械> として重宝される。以前某大臣が女性をこのように形容しひんしゅくをかったが、モウさんの世界では金のなる生き物となる。オスは種付け用以外は子供を産まないし、乳も出ない。よって残念ながら人様に食べられる価値しか残っていない。つくずく人間さんのオスでよかったと思っている。

日本へ里帰りした時、実家の近くに牧場があったのでそこを訪ね、肉牛について種類とか飼育方法の日米比較を色々話し合った。そこでは10畳の間くらいの檻の中で8頭前後のホルスタインが飼われていて、そんな檻が50もありかなり大きな畜産場であった。小さなところに閉じ込められたモウさん達はぶよぶよに肥えていたが、泣き声は悲しそうだった。

日本で食べられる肉牛は大体4種類に分けられる。所謂和牛と呼ばれているものは短角、褐色、黒色とあるがもっとも多く流通しているのは黒毛和牛である。この三種を和牛といい後は国産牛と言われる乳牛の肉である。この他和牛と乳牛を交配して出来た交雑牛と言うのもあるし、外国から輸入した牛を一定期間日本で飼育すればそれも国産牛となるなど、牛肉の見分け方は本当に難しい。

見ただけでは区別がつかない程だから簡単にラベルを偽装してもわからない、悪徳業者が蔓延る業界でもあろう。和牛と国産牛は違うということを殆どの消費者はしらないから、国産牛を和牛にしては安いと思って買い求めるケースも後をたたないのであろう。

第三番目の種類はオーストラリアからの輸入牛肉。これは牧草飼育なので肉が固い為日本人好みの柔らかく脂の乗ったものではない、従って日本では輸入後2-10ヶ月くらい穀物飼育をして消費者の好みに出来るだけ合わせるような工夫が行われている。牧草飼育は放牧で牛は草を食べて育つ。飼育コストが安いから肉も安い。味は当然ながらあっさりしている。健康的な放し飼いである。

第四番目の種類はアメリカからの輸入物である。これは穀物飼育なので日本人好みの品質があり和牛よりは価格も安いが美味しさの点では和牛には勝てない。飼い方は20頭くらいを囲った折の中か牛舎飼育となるが牛は運動不足の結果、脂肪太りで肉は柔らかくなる。しかしこれは人間でいうと完全にメタボ、不健康ではあるが美味しい肉を提供する為には致し方あるまい。

美味しい肉の見分け方は本当に難しいらしい。決め手は見た目と実際に味見するしかないとも言われる。艶のある鮮紅色がいい肉とされるが時間が経つとそれも酸化作用が進み暗赤色となる。同じ鮮紅色でも濃い赤は老齢牛、薄い赤は若い牛と言うのも目安である。肉に含まれる脂肪は肉の風味を引き立たせる為に大切な要素であり適度に混ざっているのが美味しい。皮下脂肪と筋肉脂肪があるが所謂霜降りとかロースは細かい脂肪が筋肉に入っているもので、肉でも最上級と言われている。

ことほど左様にうまい肉を見つけるのは難しいから私はブランドや店構えで肉は買わないようにしている。今の時代ブランドやネームバリュウに目が奪われ勝ちだが、実際の味や品質、そして価格とのバランスを考えると一般消費者にはまずその見分けは不可能、従って信頼できる業者やスーパーに頼るしかないだろう。

こちらに来てあちらこちら引越しをしてきたがその度にやることは口コミから美味い肉屋を探すことである。彼らがその地域で伝統的に美味い肉を提供している事実が一番大事である。肉の味は牛の種類、産地、飼育方法、加工処理方法によって微妙に違ってくる。訳の解らぬ流通経路を辿ってくると品質も一定しない。だから地域の老舗肉屋なのである。彼らは信頼の置ける業者やルートの確立をしているから安心できるし、こういったやり方で探した肉屋に今まで失望したことはない。今の肉屋は車で片道2時間近くかかるが、月一回のペースで肉の買出しに行くのである。

食肉は生鮮食品だから、買ったらなるべく早く調理して食べるのが一番美味しい。しかし最近は冷凍保存の方法も進み、まとめ買いも多くなり、また私のように一か月分購入となるとその保存方法に長ける必要性が出てくる。肉の種類や塊によって保存期間も変わってくる。肉に含まれる水分が少ないと長持ちする。牛肉、豚肉、鶏肉の順で水分は多くなっていく。また長持ちの順で行くと、塊のブロック状態、厚切り(切り身)、角切り、薄切り(スライス)、ひき肉の順で短くなっていく。

肉は栄養が豊富なため空気中の雑菌やカビ類にとって絶好の培養温床といってよい。だから買った肉は、すぐにラップ材などできっちり包んで空気を遮断し、更に密閉容器に入れて冷蔵庫に保存するのが肝心である。しかし、このような厳重な保存管理をしていても、家庭用冷蔵庫での肉の風味を損なわない保存期間は、牛肉なら3~7日位だろう。

長期となると冷凍保存だが、肉は冷凍状態でも脂肪やタンパク質の酸化が進み、その分だけ風味も落ちる。また、フリーザーは冷蔵庫よりも水分の蒸発が活発で水分が蒸発すると、肉に含まれる肉特有の芳香もともに揮発してしまうので、風味が損なわれることになる。乾燥状態になりがちなフリーザー内での保存には、空気に触れないようにラップ材で密封し、更にポリ袋などに入れて空気を抜くようにする。包装を2重3重にするのは、冷凍状態となるラップ材だけでは破れやすくなるからである。

家庭で肉を冷凍する場合は、1回で使い切れる単位でまとめるのが原則である。薄切り肉の場合は、面倒でも1枚ずつはがして、薄切り肉の間にラップ材をあてておくと便利である。ひき肉の場合は、特に1回に使う分量にして、なるべく平たい状態にして包装する。平たくしておくと、凍結時間も早く、また、解凍のときも短時間で済むからである。

肉は加熱すると雑菌やカビ類は殆ど死滅し、肉の変質は止まる。また、調理の時に使われる調味料や香辛料は、調理後の雑菌の寄生や繁殖を抑えるので、調理後の冷凍保存が長期保存に最適である。特に変質のスピードが早いひき肉などは、調理してからの保存が適していると言えるだろう。

また冷凍肉を解凍する時は、なるべく低温で3~4時間かけて解凍するのがベスト。 いきなり水やお湯につけるのは避ける様に。例えば、夕食に使用る場合には、朝のうちから冷蔵庫に入れておくと、肉汁が徐々に解けるので肉の旨味や風味が損なわれない。 半解凍状態で調理するのが望ましく、指で押してみて内部が少し凍っている位が適当だろう。冷凍肉は、店頭で解凍されて販売している場合がある。このような肉は早めに調理して食べるべきで、再凍結は著しく風味を損なうので、禁物である。尚、家庭用の冷蔵庫のフリーザーでの賞味期間としての保管は、1ヶ月位を目安とするのが普通である。

何事も専門的になると奥が深い。肉の部位になるともっとややこしい。牛肉だけでも10以上もあるんではないか?!そのうえ豚肉、鶏肉、羊肉、猪、鹿、馬、そしてワニや蛇に至るまで。それからホルモン料理の肉。。。。。。ああ頭が痛くなってきた。いつの間にかオリジナルの酒池肉林の話から逸脱してしまって気がついたら御託を並べる厨房のオヤジみたいになってしまった。

若い頃は酒池肉林という言葉を聞いただけで眼がギンギラギンになったものだがある程度の齢を重ねた今は、何故かしら淡白になって何でもあっさりしたものがよくなって来た。何処かにお茶漬けみたいにあっさりした肉はないものかなあと思うが、そんなものがある訳ないよね。