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彼女の好きな政治社会問題

女房は政治や社会問題に関しての論議が非常に好きだった。トピックによってはお互い譲らなくて、傍からみたら夫婦喧嘩をやっているかのように見られたのだろうが私達はゲーム感覚でそんなディベートを大いに楽しんできたのである。例えば大統領選挙ともなると大変である。支持する候補者がたまたま同じであれば問題ないが、異なってでもしたらもう徹底的に何故?何故??と言って攻めて来る。今回の東日本大地震から福島第一原発事故にかけての一連の大惨事はあっちこっちで色々な論議なされているが、女房が生きていれば激論となるところである。私は彼女の思考経路を良くしっている。だから彼女だったらこう言うだろうとのやりとり形式を適用しこの未曾有の国難をそんな感じで捉えることにより彼女を身近に感じようと思う。以下時系列的にこの大惨事を追っていく。

ちなみに J は女房のジェーン、M は私のニックネームのマイクである。

J  「起こってはならないようなことが起こってしまった気がするわ、あの同時多発テロみたいに私の想像をはるかに超えている!」

M 「時間が経つにつれ被災者の数がドンドン増えていきそうだね。実際あの大津波の映像が映し出される度に身の毛がよだつ思いがし、いまだ現実的なものとして受け入れることが出来ない程のショックだよ。」

J  「その上、原発の放射能漏れが現実的なものになってきたし、日本政府は何処まで事故の実態を把握しているのか、疑問に思うわ。」

M 「被災地も原発事故現場ももうどうなっているかさっぱりわからない、と言うのが正直なところじゃないかな?!余震も相変わらずだし、原発も水素爆発したらしいから、『もうこれで終わってくれ、神よ、大自然よ、頼むから祖国にこれ以上の仕打ちをしないでくれ!』 こんなことを祈るしか出来ない自分だけど、ホント無力感に襲われるよ。」

J  「私の愛する美しい日本、これからどうなってしまうのかとても心配だわ。これからは、この大惨事に直面した多くの日本人に心のケアが必要になるでしょうね。あの9-11の時でも多くのアメリカ人がトラウマに陥って長い間精神的苦痛を味わったことは記憶に新しいものね。」

M 「あの大津波が襲ってくる映像を何回も見せられるとそれが脳裏に焼きついて過去のものとなるには相当時間がかかるんだろうなあ。」

J  「それにしても想像を絶する災害や未曾有の国難に直面しているのに、日本人はおしなべて冷静で秩序を乱さないのね?普通外国ではこのような事態になると大体略奪や暴行、殺人が始まり場合によっては無政府状態になるものよ。卑近な例ではあのカトリーナ台風、あの時は災害以外に多くの殺人者まで出てあの辺り一体暫くは無法地帯になったのよ。世界のリーダーと言われているのにアメリカ人としてホント恥ずかしいくらいだったわ。」

M 「実際の給水所でも駅でも、どこでも日本人はみんな大人し並んでく順番を待っている。日本では当たり前のことかも知れないが、外国人の目から見たらそれが驚異に映るみたいだね。これは日本人の民度と言うか教育水準のレベルが高いことによるものだと思うね。」

J  「何か風評被害と言うのがあるらしいね、スーパーへ行っても棚から色々な商品が消えつつあるんだって?!買いだめらしいけど、アメリカじゃどこの家庭でも極端なこと言ったら一ヶ月くらい
スーパーに行かなくとも何とか生き延びるだけの食料はみんな冷凍庫に備蓄してあるわ。確かに冷凍食品とか乾燥食品の鮮度は落ちるけど食料に変わりないものね。だから私はそんな買いだめ騒動が理解出来ないの?」

M 「主たる理由は三つあって、一つは日本人は賞味期限に対して非常に神経質だから鮮度の高いものを買う習慣があるんだよ。アメリカ人のように一ヶ月分の食料品を買うなどと言う発想がない。二つ目は住居が狭いから冷蔵庫やパントリーが小さい、まして冷凍庫など置く場所もない。三つ目は日本人の付和雷同性、みんなが買いだめを始めると訳は分からずとも遅れてはならじと自分も買いだめに走る。こんなところかな。」

J  「じゃついでにもう一つ聞くけど、ペットボトルや乾電池が何故なくなるの?それから15リットルのガソリンを入れるために何故みんな何百メートルも並ぶの???」

M 「これは僕にもよく分からない。多分日本人の感覚としてもう水はミネラルウォーター、灯りは海中電燈でなきゃと思っているんじゃないかなあ?!ガソリンパニック、こりゃもうアホ以外のなにものでもないよ。」

M 「私だったら水は水道水、夜の灯りはロウソクを使う、ガソリンがなきゃ最悪自転車か歩くか、だからホント日本人の買いだめの心理がわからないのよ。」

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J  「震災や津波の被害は甚大だけれどもこれらは過去形、日本人のパワーを考えたら必ずや復旧復興するだろうからあまり心配はしていないけど、最大の懸念は原発事故ね。各々の原子炉の建屋が爆発したりして放射性物質が流れ出している、これは現在進行形、そして収束の見通しが付かないと言うことは未来形の問題だからね。」

M 「まあ結果論だけど、カリフォルニア州より小さな国土、それも世界でも最たる地震大国に53基もの原発を作ったのが理解出来ない。アメリカも多いけど日本の26倍の広さ、それも地震の多い西海岸は避けて全国的に散らばせて104基。如何に日本がクレージーと言うのが分かるね。まあ国策ということで進めてきたし原発の安全神話への啓蒙の為に原発マフィア達は多額の金を使いうまく国民を懐術してきたからさ。最もそれはアメリカでもフランスでも言えることだけど。」

J  「それに関連して計画停電なんてやりだしたんだね。その為になんかあっちこっちでパニック
になっていると聞いたけど。」

M 「やるとかやらないとか、地域指定もいい加減だし、あれでは混乱を来たすよな。どんな施策も全住民を納得させ賛同を得るのは不可能、だからある程度の反対は覚悟しこれが国の為、国民の為絶対必要とだと毅然とした態度でやらないとかえってパニックを引き起こすのさ。」

J  「それにしてもアメリカで計画停電などしたら大変よ。何故なら多くの泥棒達は大喜び、事前に暗くなったり色々なものが動かなくなったら、盗みに入るのがとても簡単になるからね。」

M 「全く油断も隙もないね、この国は。」

J  「それにしても、地震や津波による大災害、加えて原発爆発による放射性物質の大量漏れ、
こんな恐ろしい状況になっているのに、何故日本政府は『国家異常事態宣言』を発令しないのかしら?大きな災害や異常事態に陥った時には政府や地方自治体が半ば強権発動して全てを取り仕切るのが普通なんだけど?」

M 「と思うんだけど、日本は平和ボケというか太平洋戦争以来これと言った国難に出会っていないから危機管理システムが確立されていないんだよ。だから未曾有の大惨事となると、もうどうしていいか分からないと思うんだよ。」

J  「アメリカだったらもうとっくの昔戒厳令みたいなものが出てもう外は歩けないし、早速軍隊や警察や消防そしてFBIもやってくる。結局こんな時は軍隊なんかが、まあ日本で言うと自衛隊なんだけど彼らが一番頼りになる、と言うのが分かるんだよね。」

M 「災害でも何でも国家的な緊急時、異常時になるとアメリカの大統領の権限は一気に増大する
よね。平時でさへ世界で最もパワフルであると言われている人間が全てをコントロールするのだから、よきにつけあしきにつけ国は一致団結し一つの方向に向かって進んでいく。僕はあの9ー11のとき現場から100キロほど離れたニュージャージーのオフィスにいたのだが、あの最初の一機が世界貿易センタービルに激突してからわずか1時間後に州兵が飛んで来て我々に指示を与え、状況がはっきりするまでビル内で待機せよとそのあたりを警備していたのにはびっくりした。アメリカの危機管理は半端なものではないことをその時知ったんだよ。情報の一元管理もしかり。今回の福島原発のように政府、保安院、東電が夫々に報告し内容や数値が異なることがしばしばなのであるので国民は振り回されっぱなし。」

J  「政治の貧困以外の何者でもないね。今日はこの辺で休憩ね。」

M 「そうだねこんなところで喚いたってあんまり効果ないんかなあ?とは言え遠く離れた祖国のことを心配してみても始まらず。変わらないのは毎日の生活を止めることは出来ないこと。何処で何が起ころうと、陽は昇りそして暮れていく、夜はまた星がまばたき天空は下界では何もなかったように一日が終わる。僕達は自然体で生きていくことが大事なんだと思うよ。」

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